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TEAM KANO戦記

美味しそうなこと、オモシロそうなことに必要以上に情熱を注ぐ人たちの記録です。スカッシュについても思いついたことを書いてみようかと。 パスワード希望の方は、実名フルネームを明記してteamkano@gmail.comまでメールしてください。

著作権(2) 著作権のレゾンデートル

内田樹(神戸女学院大学名誉教授)が著した文章は、入試でよく出題され、予備校・学習塾などの教材や模試に使用されることが多いという。その理由のひとつに、「私がネット上で公開した文章は、コピーフリー、著作権フリーを公言しているから」を挙げている。





私のテクストは多くの学校で入学試験に採用されている。理由はいくつかあるが、意外に知られていないのが、「ウチダのテクストはいくら切り貼りしても著作権者から文句が出ない」ということが広く受験関係者に周知されているという理由である。

入試問題は、そのあと過去問集に採録されたり、予備校の教科書に採録されたりするが、それについて「著作権者の許諾を得ないで勝手に使うな」ということを言い出した方がいて、そのおかげもあって、現在では、小さな学習塾まで許諾申請の書類を送ってきて、1050円とか2100円とか(消費税込みね)を振り込んでくださる。懐手をしていてもちゃかちゃか小銭が口座に入金されることのありがたさについては日本文藝家協会をはじめとする関係各位のご努力をまことに多とせねばならない。

しかし、このたいへん手間暇のかかる作業をしているうちに、ある種の「雰囲気」が著作物の複製利用をする方々のあいだに広まっていることにオーサーたちは気づいていないようである。
ご想像いただきたい。

「コピーライトを既得権と考えて、厳密な使用条件を課す物書き」のみなさんと、私のように「入試やら模試にお取り上げいただけるということは、いわば無料で私の本の『宣伝』をしてくださっているということであり、むしろこちらから『使用料』をお払いすべき筋であるにもかかわらずまことに恐懼謹言」的物書きの二種類のオーサーのテクストを前にしたとき、学習塾や予備校の講師たち(さらには入試作問者や国語や小論文の副読本を自作している先生たち)ははたしてどちらを選好するであろうか。


(中略)


私の若い読者たちの実に多くが「最初にウチダの本を読んだのは、模試の問題においてであった」とカミングアウトしてくれている。模試の問題だと、そのあと先生が「正解」について解説してくれる。作問した先生はもちろん私の読者であって、いろいろ底意があってわざと私のテクストを選んでご利用になっているわけであるから、答案を返す段になると、「前回の模試のこの問1ですけど、出来悪かったですね。今日はそういうわけで、ウチダタツルの修辞法や変てこなロジックの構成について、ちょっと集中的に勉強してみましょうか。来年あたりセンター試験に出るかもしれないしね」というようなお話がつい口を衝くのである。

「予備校の教室など言及されても一文にもならぬ」と考えるのはシロートで、大教室の予備校生たちの中に一人くらい「なんか面白そうだな。この人の本、帰りに本屋で探してみようかな」というような展開になるというのはあながち荒誕な夢想とは言い切れぬのである。

ビジネスというのは本質的に「ものがぐるぐる回ること」である。「もの」の流通を加速する要素には「磁力」のごときものがあり、それを中心にビジネスは展開する。
逆に、流れを阻止する要素があれば、ビジネスはそこから離れてゆく。「退蔵」とか「私物化」とか「抱え込み」というふるまいは、それが短期的にはどれほど有利に見えても、長期的スパンをとればビジネスとして絶対に失敗する。

ビジネスの要諦は「気分よくパスが通るように環境を整備すること」それだけである。
著作権はそれがあると「著作物の『ぐるぐる回り』がよくなる」という条件でのみ存在価値があり、それがあるせいで「著作物の通りが悪くなる」ときに歴史的意義を失う。




内田樹の研究室 「グーグルの存在する世界にて」より引用

※これは、グーグルが中国から撤退したという“事件”の、少し後に発表されたもの。是非リンク先に行き、全文を読んでいただきたい※




内田がコピーフリー、盗用フリーを公言している目的は、「ひとりでも多くの人に、私が書いたものを読んで欲しいから」であって、多くの収入を得たいからではない。

短期的には、使用される毎に著作権料を得られた方が収入は増える。
しかし長い目で見れば、「(コンテンツのクオリティが高ければ)いちいち細かいところまで著作権料を要求しない方が、収入面でも得でっせ」ということも、内田は言っている。


コピーライトという「既得権」に固執する人は、「コピーライトがあるがゆえに生じる逸失利益」というものが存在することにたぶん気づいていない。


実は、肖像権に関しても同じことが言える。
これについて、次のブログ記事(私の写真使用に関する質問に対して、スカッシュマジックから得られた回答を示す)で言及する。




というわけで、私加納哲也も、自身のブログで発表した文章や写真の「経済的権利としての著作権」に関しては、フリー宣言をしている(悪用を除く)。

私が撮影した写真が、「1枚1,000円で、コンスタントに毎週千枚以上売れる」というような状況が実現されれば、私は今の勤務先を辞め、撮影を専業にできる。そうなった場合は、基本スタンスは「ご自由にお使いください」とは言えない。
だが、そのような状況にはどうもなりそうにないので、著作権だなんだ言うのはおこがましいにも程があるってもんなのである。


無断転用であっても、「私の写真を使っていただいて、ありがとうございます」と感謝する。
日本のスカッシュの現状は、私の写真と同様のフェーズにあると思うんですが。






  1. 2012/05/25(金) 21:08:42|
  2. スカッシュ
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