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TEAM KANO戦記

美味しそうなこと、オモシロそうなことに必要以上に情熱を注ぐ人たちの記録です。スカッシュについても思いついたことを書いてみようかと。 パスワード希望の方は、実名フルネームを明記してteamkano@gmail.comまでメールしてください。

スカッシュ写真の撮り方(スカッシュの知見編)

「スカッシュ写真の撮り方(写真の基礎知識編)」からの続きです。)





1.競技、選手を理解し、動き(この先どいうことが起こるか)を予測する


下図は、「相手(ブレイヤーB)が左前からクロスロブを打った(またTに戻れていない)、ストローカーであるあなた(プレイヤーA)はTの少し後ろにいる」という状況です。
WS000002_20130623071828.jpg





この局面で、あなたが選択すべき最善手は何か?



答えは明快、「ボレーでストレートドライブを打ち、ボールをコート右後方へ運ぶ(2バウンド目がバックウォールニックがベスト)」です。

状況によっては、「ロブが高くて良いコースに上がったので、無理してボレーしない」や「相手がストレートドライブを予想してコート右後方に猛ダッシュしているので、ボレークロスドロップで逆を突く」なんて手もアリですけど、基本/原則は「ボレーカット、ストレートドライブ」です。



下の写真は、相手が左前からクロスロブを上げたので、「ジャンピングボレーする!」と察知して、シャッターボタンを押しています。
DSC_0275.jpg
D800 AF-S NIKKOR 50mm f/1.8G 露出モード:マニュアル(1/640秒 f1.8) ISO:オート(3600)露出補正-0.3



この選手がしたショットセレクトと同じことを、カメラマンはしているのです。




Facebookの順天堂大学スカッシュ部のアルバムにあるこの写真も、同じシークエンスだと思います。
481192_355566881216101_1203442870_n_20130623074301.jpg

(撮影者の許諾を得て転載しています)



この瞬間を切り取ることができるのは、撮影者がスカッシュのことをそれなりに知っているから。そしてこの選手のことをよく知っていて、どのような動きをするのか予測することができたからです。結構難しいんですよ、これ。
あとは被写体ブレをしないシャッタースピードを選択できれば、エクセレントな写真になります。写真の基礎的スキルを身に付けるのは、割とカンタンです。


オールスポーツコミュニティ
のカメラマンは、「写真撮影のスキルはあるが、スカッシュの知見は(ほとんど)ない」だと思います。よって、「ピントが合っていて、ブレていない」という『記録写真』レベルはクリアしています。でもそれだけ。
ほとんどがテイクバック時の写真です。ジャンプやダイブが予想できず、ストーリーを理解できない人が撮影しています。



2013年のCP+(カメラショー)で、スポーツグラフィック「Number」編集長松井氏の講演を聴きました。
DSC_7841_20130623091042.jpg





下の写真は、1998年長野オリンピック ジャンプ団体戦で、金メダルを決めた舟木選手のジャンプを見つめる原田選手を撮ったものです。
DSC_7842_20130623091044.jpg




「他のカメラマンが舟木選手を撮っているときに、それを見つめる原田選手に“撮る価値”があると判断した藤田孝夫カメラマンはすごい」と松井氏は言っていました。1994年のリレハンメルオリンピックからつながるストーリーを理解しているかこそ、の判断です。さすが。



サッカーで試合前の練習中に「今日○○選手調子いいよ。ゴール決めるかも」や「あの選手、将来大物になるからマークしとくといいよ」とカメラマンから教えられることがよくあるそうです。「Number」レベルのカメラマンは、競技や選手のことをよく知っている(知らないと、撮れない)のです。





渡部さとるさんがスポーツ新聞社の新米カメラマンだったころのこのエピソードも、同様ですね。マニュアルフォーカス時代の話ですけど、シャッターチャンスを捉えるという点では、現代も同じです。



スポーツ新聞社のベテランカメラマンともなるとピント合わせの技はほとんど職人の域に達している。その中でも各社一人は神技と呼べる人たちがいた。

スポーツ新聞のメインはやっぱり野球である。カメラマンも、巨人戦ともなると(大阪なら阪神戦、名古屋なら中日戦)一塁ダッグアウト上、三塁、センターバックスクリーン、そしてゴンドラ席と最低4人の布陣となる。

なかでもゴンドラ席は各社腕利きのベテランが座る場所。ゴンドラ席とは一塁側観客席中段上くらいに位置し、ちょうど三塁とホームを結ぶ延長線上にあることが多い。そこからならグランドの隅々までを見渡すことが出来る。

一塁、三塁、センター席のカメラマンがバッター中心に撮影するのに対しゴンドラ席は、守備を主にハプニングなどを撮影する。要するにバッターが打ったボールの行方を撮る立場にある。

「ピッチャー投げました(カーン)打ちました!」のアナウンスの声と同時にレンズが振られ、野手が捕球する前にすでにシャッターが切られている。「横っ飛びのファインプレー」など、ゲームを左右する場面ともなると新聞紙上には絶対必要だ。必ず撮れるバッターとは違い、守備のプレーにもう一回はない。

どう考えてもボールより速くレンズを振っている。ピントはいつ合わせるかというと、「レンズを振りながら」ということになる。レンズといっても600ミリの超望遠レンズである。ピントの合う幅は限りなくゼロに等しい。

なのに、重要なプレーやハプニングがあると必ず写っているのだ。しかもピントぴったりで。試合を決定付けたファインプレーやエラー。一瞬を争う一塁ベース上でのランナーと捕球者の交錯。必要とされるものは全て写っていた。

横で撮影しているところを見ていると「カーン!」とバッターが打った瞬間にもう「カシャ!カシャ!カシャ!」と3~4の枚シャッター音が聞こえる。しかし肉眼でボールの行方を追っても飛んでいくボールなど見えない。いったいどうやって撮っているのか。

話を聞くとピッチャーの配球、バッターの癖、ランナーの有無、アウトカウント、点差、色々なことを頭に入れてあらかじめ狙いをつけておくらしい。その上で右目でファインダーを、左目でグランド全体を見てボールの行方を追い、守備の人間が動いたところに瞬時にレンズを向ける。ピントはもう長年の経験で三塁ならこのくらい、センターならこのくらいと指が覚えているという。だからバッターが打った瞬間にはシャッターが切られているのだ






インパクトの瞬間が撮れるのは、プレイヤーと同じ感覚でボールを追っているからです。「プレイヤーになったつもりで、ボールを打つ」ように撮ります。スカッシュがわかっていないと、撮れません。

DSC_0846.jpg
D800 AF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8G ED 露出モード:マニュアル(1/640秒 f2.8) ISO:オート(2500)





DSC_3613.jpg
D800 AF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8G ED 露出モード:マニュアル(1/640秒 f2.8) ISO:オート(2500) 露出補正-0.3




DSC_9802.jpg
D800 AF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8G ED 露出モード:マニュアル(1/500秒 f2.8) ISO:オート(6400)




2.主役・脇役・エキストラを適度に配置する。

肉が大好きな人でも、毎日3食ステーキを1週間も続けたら、さすがに飽きますよね。
「1番から9番まで全員清原」という打線、オモシロそうではありますが、強いチームではなさそうです。

組み写真の構成を考える時、「主役写真」、「脇役写真」、「エキストラ写真」のバランスを意識します。




まず、主役写真を2、3枚押さえます。
DSC_0308_20130623081738.jpg
D800 AF-S NIKKOR 50mm f/1.8G 露出モード:マニュアル(1/640秒 f1.8) ISO:オート(2800) 露出補正-0.3




DSC_0308_1.jpg
D800 AF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8G ED 露出モード:マニュアル(1/640秒 f2.8) ISO:オート(3200) 露出補正-0.3




DSC_4158_20130623081529.jpg
D800 AF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8G ED 露出モード:マニュアル(1/640秒 f2.8) ISO:オート(4000) 露出補正-0.3




次に脇役写真を狙います。

DSC_9331.jpg
D800 AF-S NIKKOR 70-200mm f/2.8G ED 露出モード:マニュアル(1/500秒 f2.8) ISO:オート(6400)



DSC_9446.jpg




DSC_9926.jpg
D800 AF-S NIKKOR 50mm f/1.8G 露出モード:マニュアル(1/640秒 f1.8) ISO:オート(2800) 露出補正-0.3




ちょっとした間で、エキストラ写真を拾っておきます。


DSC_9342.jpg
D800 AF-S NIKKOR 70-200mm f/2.8G ED 露出モード:マニュアル(1/250秒 f2.8) ISO:オート(2800)





DSC_0780.jpg
D800 AF-S NIKKOR 70-200mm f/2.8G ED 露出モード:マニュアル(1/500秒 f2.8) ISO:オート(4000)




DSC_0316.jpg
D800 AF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8G ED 露出モード:マニュアル(1/640秒 f2.8) ISO:オート(3200)




DSC_9584.jpg
D800 AF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8G ED 露出モード:マニュアル(1/250秒 f4) ISO:オート(6400)



ま、これは「写真の基本的スキル」ですが、スカッシュの知見がないと、脇役・エキストラは見つけられません。主役ばっかりの「フォトギャラリー」になります。







3.ストーリーを考える

下の写真は、2013年関東学生スカッシュ選手権団体戦 男子決勝が終わった直後のものです。
DSC_9595.jpg
D800 AF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8G ED 露出モード:マニュアル(1/250秒 f4) ISO:オート(6400)




決勝のスコアはこれ↓
慶應bt.順大 3-2 
鈴木(5)lost.井上(5)5-11,9-11,6-11
阿部(3)bt.中川(3)13-11,11-9,5-11,11-13,16-14
佐藤(4)bt.越智(4)11-9,3-11,8-11,11-4,11-7
平田(1)lost.小畑(1)9-11,11-6,6-11,12-10,10-12
府川(2)bt.高橋(2)11-8,11-6,7-11,5-11,11-8 
(試合順)



この流れからして、こういうシーン(チームの優勝を決めた主将を、みんなが歓喜で迎える)が起きると想像しました。だから、この瞬間を狙って待っていたのです。



以上、理屈を理解すれば、そんなに難しいことではありません。みなさんもゼヒ、スカッシュ写真に挑戦してくださいね。




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  1. 2013/06/11(火) 21:46:42|
  2. スカッシュ
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スカッシュ写真の撮り方(写真の基礎知識編)

オリンピック競技の候補に残ったことで、ちょっとしたスカッシュバブルが起こっているようです。
“こういうときに使える写真”の撮り方を、ご説明します。ひとりでも多くの撮り手がいた方がスカッシュの発展につながると思うので。


スカッシュの撮影(静止画)に必要なスキルは、以下の2つです。

・写真撮影の基礎的知識
・スカッシュの知見(その試合のレフリーができる程度)




「アートとしての写真」の場合、『良い写真』の定義は難しいのですが、「記録写真」であれば、比較的単純です。
撮りたいもの(伝えたいもの)に①ピントが合っていて、②ブレていなく、③露出(明るさ)・色が適切であること。
これが良い記録写真の条件です。ロバート・キャパによる『D-Day』のような例外はありますが。

最近は制御技術が優秀になり、カメラ任せでもかなり良い写真が撮れるようになりました。しかし、スカッシュは撮影条件が厳しいので、ちょっとテクニックが必要です。重要な順に解説していきます。



1.選手をブラさないシャッタースピードを選択する


シャッタースピードとは、「シャッターが開いている時間の長さ」です。
シャッタースピード:1/640秒で撮影した下の写真では、選手・ボールは止まっていて、ラケットのみがブレています。
03_20130607224805.jpg
D800 AF-S NIKKOR 50mm f/1.8G 露出モード:マニュアル(1/640秒 f1.8) ISO:オート(2200)



現実には、選手・ボール・ラケットどれもが動いています。でも1/640秒という短い時間では、選手・ボールが動いた距離はごく僅かなので、『止まって見える』。スイング中のラケットのみが数センチ動いているため、その分が『ブレ』になります。

被写体の動きに応じて、「ブレないで撮れるシャッタースピード」を選択すること。
これがスカッシュ写真撮影スキルの最重要事項です。被写体が動き物の場合全てに共通するスキルです。上の写真ではラケットがブレていますが、スピード感を伝えるのに適したブレ量だと判断しました。でも選手の顔はブレないことが必須。顔が止まっていても、もっとブレが大きくて「選手が振っているのがラケットなのか箒なのか分らない写真」はブレ過ぎです。


シャッタースピードを速くするとブレは防げますが、デメリットがあります。シャッターが開いている時間が短いと、取り込める光の量が少なくなります。取り込める光の量が少ないと、画質が低下します。
スカッシュコートのような屋内は、日中屋外に比べてかなり光の量が少ないのです。人間の目は調整能力が高いので、照明が点いていればそんなに違わないように感じますけど。
カメラをオートに設定していると、スカッシュコートのような暗い場所では多くの光を取り込むために、カメラはシャッタースピードを遅くするようプログラムされています。1/15~1/100秒くらい。これでスカッシュを撮るとブレブレになります。
みなさんがピンボケだと思っている写真の多く(80%くらい)は、「ブレた写真」です。「ブレ+ボケ」も含めて、ですが。

スカッシュのように動きの速い被写体をブレずに撮るためには、速いシャッタースピードに設定する。でも、ブレない範囲でできるだけシャッタースピード遅くする。
「ブレはシャッタースピードでコントロールする」と覚えてください。

13.jpg
D800 AF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8G ED 露出モード:マニュアル(1/125秒 f2.8) ISO:オート(2500) 露出補正+1.0




2.ピントを合わせるために、選択したフォーカスポイントで選手を追い続ける

EOS Kiss X7のCM
を見て、「ママ、スキル高っ!」と感心しました。
WS000001_20130611220939.jpg




被写体が静物(花や料理など)であれば、ピント合わせはカメラにお任せでもかなりイケますが、動体の場合はかなり難しいです。ママは、9点あるフォーカスポイントの中から真ん中上を選択し、コンティニュアスAFで子供を追い続け、ダイビングヘッドでシュートするベストなタイミングでシャッターを切っています。なかなかの腕前です。

難しい話は省きますが、スカッシュの撮影ではどうしてもピントが合う範囲が狭くなります。残念ながら、現在の技術では、カメラ任せではピントは合いません(5~10年後なら可能かも?)。オリンピックやワールドカップを撮影しているプロカメラマンでも現在はほぼ100%オートフォーカスを使っていますが、カメラ任せではありません。

ピント合わせの基本は構図を決めてから任意のフォーカスポイントを選択し、コンティニュアスAFで選手を追い続けることです。
私の基本設定を末尾に示しておきます。



DSC_1185_20130607232541.jpg
D800 AF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8G ED 露出モード:マニュアル(1/640秒 f2.8) ISO:オート(4000) 露出補正-0.3

上の写真、ピントは宮武選手の左手(ラケットを握っているところ)に合っていて、顔は微妙にボケています。選択したフォーカスポイントで選手の顔を捕捉できなかった失敗例です。このくらいシビアにピントは追い込むことが必要です。







3.スポット測光を使う

カメラの初期設定は、アベレージ測光(評価測光)になっていると思います。スカッシュの撮影でアベレージ測光を使用すると、バックウォール側から撮影する場合は壁の白さに引っ張られて選手が露出アンダーに、フロント側からだと観客席の暗さに引っ張られてオーバーになります。
スポット測光で選手を捕らえましょう。ピントが追えれば、露出も大丈夫です。

原則として、「カッコイイ写真=露出アンダー(暗め)、カワイイ・優しい写真=露出オーバー(明るめ)」と覚えておきましょう。

DSC_4333.jpg
D800 AF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8G ED 露出モード:マニュアル(1/125秒 f2.8) ISO:オート(6400) 露出補正+0.3






スカッシュの場合、基本はアンダー露出ですね。下のは極端な例ですが。
DSC_1867B_20130607232932.jpg
D7000 AF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8G ED 露出モード:マニュアル(1/640秒 f2.8) ISO:オート(4000) 露出補正-1.0





4.コントラスト低下に気を配る

スカッシュの撮影は、原則アクリルボード越しになります。アクリルボード越しに撮ると、コントラストが低下します(コートによって程度が違います)。

下の写真で、素通しの上半身とバックウォール越しの下半身で、コントラストが違う(下半身の方が白っぽい)ことが分ります。
DSC_4311_20130608080236.jpg
D800 AF-S NIKKOR 70-200mm f/2.8G ED 露出モード:マニュアル(1/500秒 f2.8) ISO:オート(4500) 露出補正-0.3



私は撮影時、原則コントラストを高くする方向で補正しています。
補正し過ぎはダメですよ。あくまでも「アクリルボード低下した分を、補う」というスタンスです。





5.スカッシュ撮影時、加納の基本設定

下記はあくまでも「原則」。状況や撮影意図に応じて、適宜変更しています。
カメラはD800、レンズはAF-S 24-70mm f2.8G ED、AF-S 70-200mm f2.8G ED VRⅡ、AF-S NIKKOR 50mm f/1.8Gの3本です。


露出モード:マニュアル(シャッタースピード:1/640秒、絞り:開放)
測光モード:スポット測光
ホワイトバランス:Auto1(電球色も補正する)
ISO感度:Auto(上限6400)
ピクチャーコントロール:カスタム「SQUASH」
AF:AF-C、9点ダイナミック、AF-ONボタンで親指AF、シャッター半押しAFはOFF
アクティブDライシング:より強め
AFロックオン:弱め
レリーズ優先
半押しAFレンズ駆動:OFF(AF-ONボタンで親指AF)
主スロット:CF(RAW記録)/副スロット:SD(JPEG記録)


DSC_4748.jpg
D800 AF-S NIKKOR 70-200mm f/2.8G ED 露出モード:マニュアル(1/640秒 f2.8) ISO:オート(3200) 露出補正-0.3




DSC_1754.jpg
D800 AF-S NIKKOR 50mm f/1.8G 露出モード:マニュアル(1/1000秒 f2.2) ISO:オート(5000)




「スカッシュ写真の撮り方(スカッシュの知見編)」へつづく







  1. 2013/06/07(金) 22:48:48|
  2. スカッシュ
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